予算統制・予実管理とは?具体的な予実管理のプロセス・手法を解説!

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こんにちは、keijinhoです。

本記事では、以下の疑問に答えるために、具体的な予実管理プロセス・手法について解説していきます。

・会社を創業したばかりでどのような経営をしていけばいいのかわからない

・予算計画、中期経営計画が従業員に浸透せず、計画倒れになってしまう

・経営状況が良くないが、どのように建て直したらいいのか教えてほしい

ぼくは、1部上場企業2社を経験し、現在ITベンチャーでIPO実務担当を任されていますが、入社後、売上30億円→50億円以上、営業利益を4億円以上を出すことができました。

そこで、ぼくの師匠でもある、20年以上メガバンクに勤務し、事業会社のマザーズ上場と1部鞍替えを成功させた、現在1部上場企業のCFO直伝の「具体的な予実管理手法・プロセス」をお伝えします。

なお、予算の策定フローについて知りたい方は、「中期経営計画・年度予算を策定する目的・メリット、経営計画の策定フローを解説!!」をご覧ください。

予算統制・予実管理の意義

予算統制とは、予算と実績をリンクさせて管理することです。予実管理もほぼ同義です。

予算計画に対し予実管理を行なうことで、計画に対する実績がいくらか、進捗状況はどの程度かなど、達成度を把握できるようになります。そのうえで、計画した予算と実績の間に差異が生じたときや達成度が不十分な場合には、予実差異分析により差異が生じる原因を特定し、適切に改善するための行動計画を提案・実施したりという次のアクションに繋げていきます。

上場企業は投資家向けに情報の開示が必要なので予実管理を適宜に行っていますし、上場予定企業は、開示の制度を構築するため、予算統制という考え方のもとに年度予算の策定を行い、その策定された予算と実績の差を把握・分析し、その差異を縮める対策を判断する体制作りが必要とされます。上場審査では予算の下方修正なく着地できたかについては、とても重要な項目の1つとされているので、企業の業績管理において予算統制は非常に重要といえます。

予算統制における予実管理の具体的プロセス・手法

予算統制における予算管理プロセス

予算統制を実施する際の予実管理プロセスとしては、まず各部門の実績を把握し、その後、実績と予算の対比をします。そのうえで、実績と予算に差異があった場合、その原因の分析と影響予測を行い、分析結果を経営陣に報告するなどして問題解決と課題達成に向けた対応策の検討と実施をします。

実績把握 → 予実差異分析(原因分析・影響予測) → 問題解決と課題達成

実績把握

予実管理を行うには、まず実績数値を把握する必要があります。

単一事業ではなく、複数事業行っていたり、部門が分かれている場合には、事業毎・部門ごとに実績数字を把握します。

各部門の実績把握は、予実管理の上では非常に重要なスタートです。実績数値がわからなければそもそも予算統制は行えません。この実績値は、リアルタイムに把握できるほど、改善計画への影響が大きくなり、意味があるものとなります。そのため、月次単位ではもちろん、週次での把握に努めましょう。

実績数値を把握した後は、実績と予算を比べて差額・達成度を把握していきます。

予算差異分析~原因分析・影響予測

実績と予算の差異を出した後は、その原因の確認と影響の予測を行い、経営会議などで報告します。特に、未達の場合は、未達原因がどのようなものか、どのように改善していくのかを検討していくうえで、非常に重要な数値となります。

そのため、全社レベルではなく、事業部単位、部門単位で細分化して予実差異分析を行った方が、より効果的な改善計画の作成に繋がります。

また、原因分析だけで終わらずに、「影響予測」も行うよう心掛けるべきです。

原因はほとんどの方が本能的に考えると思いますが、その結果がもたらす影響まで考えることはあまり多くないと思います。

この原因分析の「なぜ?」も重要ですが、影響予測の「それで?」のほうが物事を判断する上で重要です。影響の予想は、悪い事象であればあるほど早めに食い止めるために迅速な判断が必要となるからです。

そのため、予実差異分析では、結果に対しての原因分析に加えて、影響予測やメリット・デメリットをまとめて報告するようにすべきです。その際、当月のみならず、累計や通期見込み、前年対比もあったほうががより効果的な改善策の作成に繋がります。

予実管理表・報告書の作成

単月版・予実管理表

予算統制・予実管理の分析結果は経営会議等に報告し、経営陣がその数字を見ながら、限られた時間の中で問題解決や課題達成に向けた議論を行います。なので、予実管理表や報告書の作成に当たっては、できる限りシンプルで、見やすくわかりやすい資料を作成することが重要です。経営会議等の論点を事前に予測したうえで作成できればさらに良いと思います。

ぼくがこれまで注意されたりして実施している内容を紹介すると、以下のような感じです。

・各勘定科目を売上高で割った百分率(売上比)を表示する

・売上高、売上原価、売上総利益は、内訳として事業別・商品別の数字を表示する

・販売管理費は属性により、変動費と固定費に分類し、小計欄を表示する

・単月・累計だけでなく、通期予算に対する着地見込みを組み込むこと

・前年同月比較や前年同月累計比較、ベンチマークする会社との比較があるとベター

・予実差異分析コメントは、100万円単位や10%以上のズレなど一定のルールで絞り、アクセントをつける

予算統制・予実管理を適切に行うためのポイント

売上管理

① 進捗把握・着地把握

まず注意すべきなのが、予定通りの進行期に納品ができるか、業績の着地見込はどうかです。

単月の売上や実績、年度累計の数字はどの企業もわかっていると思います。ただ、そこから先に、年度予算に対して残りがどうなっているのか、どういう数字で着地しそうかまで把握している企業はそう多くは無さそうです。特に、受託開発をメイン事業としている場合や、特定のプロジェクトが売上全体に占める金額インパクトが大きい場合には、予定通りに期中に売上計上できるか、期ズレで翌期になるかでは、業績に大きな影響が生じる事になります。

ぼくはこれまで、IT(SIer・企業のシステムの受託開発・ソフトウェア開発系)系、不動産金融系の企業を経験してきました。SIerでは、大企業の予約システムや消費者向けサービスの構築などの受託開発案件、また、不動産金融企業では、ファンドの組成物件となる大規模マンションやビルの売買や開発、大規模太陽光発電所の開発などの案件があり、売上に占める割合が大きいものが多数ありました。

そのため、これらのプロジェクトの進捗の把握は、できる限り「週次」で見るようにしていました。開発の進捗、契約状況などの売上に関するものを週単位で事業部から吸い上げるようにしていました。

週単位での見直しなので、業績の着地はほとんどズレません。また、これにより、国内外の経済情勢など、外部環境の変化への対応が迅速になります。

他方、現職はIT(ITサービスの企画・設計、開発およびIoTデバイス製造)系企業ですが、IoTデバイスの製造事業については、100個や1,000個といった小ロットから、50,000個、100,000個単位での大きいロットでの製造案件があります。

もっとも、大ロット案件についても、完成品から分割で納品したりできる上、開発期間と異なり、製造期間は長くても数週間と、ズレても1月程度であることがほとんどのケースが多く、そのため進捗確認を基本的には「月次」とし、事業部の集計の負担を軽くするように注意したりしています。

ぼくの場合は、売上の5%を占める案件であれば、週次での進捗把握をするよう意識しています。そのうえで、良い想定外、悪い想定外、両方ありますが、何かが計画からズレていたとしたら、何が想定内で想定外かを、きちんと把握することを心がけていました。

② コミュニケーションと仕組みづくり

売上管理、進捗確認をリアルタイムで行っていくうえで非常に大きいことが事業部との連携です。月次よりも進んでさらに週次で業務を把握していくためには、事業部の協力が必須です。事業部から正確かつスピード感を持って情報が上がってくる仕組み、体制づくりが重要になります。

こうした仕組みを作るには、普段からの事業部とのコミュニケーションが大切だというのは当然の前提ですが、経営企画部門に組織上の情報を集約し一元化する機能・仕組みを構築するよう動くということです。

SIerでも不動産金融企業でも、経営企画部門に案件に関する稟議書が回る形になっていました。それらの情報を部門として把握していたので、事業部とのコミュニケーションがスムーズに進んだ1つの要因かなとも思っています。

この経験を活かし、現職がベンチャーなので組織構築段階というのもありますが、決裁権限のフローを調整するなど、情報を集約し一元化するよう仕組みを作っています。

コスト管理

① 事業部単位での損益分析を行う

1つ1つの経費の額はわずかでも、積み重なると大きくなります。経費の無駄こそ恐ろしいものはないと思います。また、支出が多ければキャッシュフローが悪化し、経営活動にも甚大な影響が及びます。

なので、会社全体のコスト管理・資金計画の他に、事業部単位で行った方がより効果的といえます。

② 人件費コスト

人件費は、ほとんどの企業で1番ともいえる固定費です。どのように生産性を高くして従業員に働いてもらうか、効率的に回せるかは、計画を達成するうえで重要な要素です。

単純作業で自社のノウハウに残らないものは、従業員ではなく、派遣や業務委託に任せるという選択肢もあります。また、従業員の労働時間についても、削減することが求めれらている時代ですが、法律の範囲内で残業してもらった方が、新しい人材を雇うよりもトータル的なコストが低く済んだりします。

③ 売上コストの弾力性

そのコストをかけるべきか削るべきかどうかは、そのコストをかけることにより得られるものとの比較考慮により決まります。例えば、100万円のコストをかけ、それ以上に収益が上がるなら、かけるべきです。

予算は立てたとしても状況により可変的に変化します。なので、コスト以上の効果があると見込める場合には、投下すべきといえます。

まとめ

予算統制・予実管理の具体的な手法についてまとめました。

上場企業や、上場予定企業で無ければ、そもそも予実管理なんて不要ではと思う方もいるかもしれません。ただ、ある企業では、過去数年間にわたって赤字続きで、なので当然計画に対しては未達であり、それが日常になってしまっているため、その状態に抵抗感すら感じなくなってしまっているようです。

ぼくはこれまで経営企画に携わってから、この管理手法で毎期の予算の下方修正を行うことなく予算を達成してきています。

皆さまの参考になれば幸いです。 本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。